屋根の棟板金とは?点検と補修方法を徹底解説!!
屋根の棟板金には大切な役割があります。でも、日々紫外線などで劣化が進む箇所でもあります。棟板金にありがちな不具合やトラブルの事例をみてみましょう。
屋根の構造と棟板金の役割とは?
屋根の構造を簡単に説明すると、まず骨組みの上に屋根の下地となる野地板が張られます。野地板の上には、下葺き材として防水シート(ルーフィング)が葺かれています。その上に、普段目にするような屋根材で仕上げられています。
屋根材は、貫板といわれる木製の板で押さえられていて、その上から棟板金が被せられます。屋根の頂点に位置している金属の板で、屋根材の隙間を覆い雨水の侵入を防ぐ役割があります。
棟板金の浮きや釘抜けの状態って?
棟板金は釘で固定されています。でも、築7〜10年程度で少しずつ釘が抜けてきてしまうのです。「屋根の棟板金に浮きの症状がある」といわれたら、釘が抜けてしまってしっかり固定できていないということです。
釘が抜けてしまうおもな原因は、熱膨張によるものです。板金は金属製のため、日に当たると膨張し、気温が下がると収縮するからです。とくに日当たりのよい家の場合、熱膨張の影響を受けやすくなります。釘が抜けてしまうおもな原因は、熱膨張によるものです。板金は金属製のため、日に当たると膨張し、気温が下がると収縮するからです。とくに日当たりのよい家の場合、熱膨張の影響を受けやすくなります。
棟板金が浮いていると雨漏りの原因にも?
屋根の棟板金の浮きが引き起こす主なトラブルは2つあります。ひとつは、台風などの強風にあおられて飛散してしまうこと。金属の板がものすごいスピードで飛んできたら、建物の損害だけでなく、人にケガをさせてしまうこともあります。
ふたつめは、雨漏りの原因となることです。屋根材との隙間ができて、貫板に直接雨が当たってしまいます。とくに湿気は木部の多い住宅にとって厄介なものです。
屋根の棟板金の浮き・釘抜けはどんな修理や工事が必要なの?
屋根の棟板金の浮きや釘抜けがみられるさい、どんなメンテナンスが必要なのでしょうか。症状によって修理方法や工事内容は3種類に分けられます。
釘を固定しなおす釘打ちコーキング工事
板金を固定している釘が緩くなっている程度なら、打ち直してコーキング材でしっかり固定します。半日〜1日の工期で、1件あたりの費用相場は約15,000〜30,000円。
貫板が腐食しているなら貫板交換工事
貫板に雨水が直接当たってしまっている状態では、貫板が腐食してボロボロになっていることが多いです。屋根材をしっかり固定する機能も低下しているため、貫板を新しく交換しなければいけません。費用相場は、6,000〜10,000円/㎡です。最近では木材ではなく、腐食しにくい樹脂製の貫板が人気です。
劣化や飛散したなら棟板金交換工事
棟板金自体が劣化していたり、飛ばされてしまった場合は、貫板と板金を新しいものに交換します。費用相場は7,000円〜12,000円/㎡です。錆びにくく丈夫なガルバリウム鋼板が主流で、耐用年数は15〜20年といわれています。
屋根の点検は棟板金の浮きだけじゃダメ!メンテナンスが必要な箇所って?
屋根は約7年ごとの点検が奨励されています。棟板金だけでなく、メンテナンスが必要な箇所を押さえておくと、雨漏りなどのトラブルを防ぐことができます。
雨水の排水をスムーズにする谷板金・水切り板金
屋根の板金には、棟板金のほかに「谷樋板金」と「水切り板金」があります。谷樋板金は、屋根の谷部にあたるところに設置されていて、雨や雪の排出をスムーズにする役割があります。また、水切り板金は、屋根の軒先や壁面に設置されていて、隙間から雨水が侵入するのを防ぎます。落ち葉やゴミがたまっていると、うまく水が排出されずに雨漏りの原因になってしまいます。
防水機能があるルーフィング
屋根材の下には最終的に雨水の侵入を防ぐ防水シートがあります。ルーフィングとも呼ばれていて、次の2種類が主流です。どちらも耐用年数は短くはありませんが、屋根材を撤去してみないと状態が確認できません。屋根材の耐用年数と合わせてメンテナンスするとよいでしょう。
- アスファルトルーフィング:耐用年数約20年
- ゴム製ルーフィング:耐用年数約15年
屋根の土台となっている野地板
一次防水の屋根材と二次防水のルーフィングの劣化が進むと、野地板にも不具合がおこることがあります。野地板は木製のため、雨が浸み込んでしまうと腐食してしまいます。天井の点検口から野地板が確認できることもあります。野地板にシミや腐食の兆候があったら、大掛かりなリフォームが必要になる前に対処しましょう。
屋根材の種類によっても耐用年数が違う!?主な屋根材と劣化症状
一次防水の機能をもつ屋根材は、素材によって耐用年数が大きく異なります。主な劣化症状から補修や葺き替えのタイミングを知ることができます。
普及率は高いが耐久性は高くないスレート屋根
スレート屋根は、日本の住宅のなかでもっとも普及率が高い屋根材です。「コロニアル」とか「カラーベスト」とも呼ばれます。セメントを1畳ほどの薄い板状にしたものです。
人気の理由は、カラーやデザインが豊富なことです。外観のイメージに合わせて形状や質感を選ぶことができます。また、単価4、000〜8,000円/㎡と導入価格が安価なこと、施工業者が多いこともメリットです。いっぽう、割れやすいことがデメリットで、約5年ごとにひび割れがないか点検する必要があります。約25〜30年目が葺き替えのタイミングです。
耐久性は高いが断熱性・遮音性が低い金属屋根
近年主流の金属屋根のほとんどがガルバリウム鋼板。表面にアルミニウムと亜鉛、シリコンのメッキを施して、サビない加工がしてある薄い鉄板です。さらにマグネシウムを加えて耐食性を高めたものもあります。
最大の特徴は軽いことで、スレート屋根の約五分の一です。屋根の重量が軽いほど地震による揺れに強いので、耐震性が高いといえます。また、既存の屋根を残したまま上から新しい屋根材を施工するカバー工法でも、ガルバリウム鋼板が使用されます。耐用年数が30〜40年と寿命も長く、耐水性や耐火性も期待できます。
単価は8,400〜12,600円/㎡。断熱性と遮音性が低いのは金属ならではのデメリットですが、断熱材や遮熱塗料を使用するなどの対策をすれば問題ありません。
耐久性・耐火性・耐水性がある日本瓦
いわゆる日本瓦は粘土を原料に作られますが、釉薬の有無や仕上げ方によってさまざまな種類があります。とにかく耐久性があり、耐用年数は約50年。耐水性も耐火性も高いです。割れたりしなければ補修したり再塗装をする必要もありません。メンテナンス性の高さもメリットのひとつです。
一般的に日本瓦の施工には、形状によって9,000〜16,000円/㎡と施工費に幅があります。おもな日本瓦には次のようなものがあります。
・いぶし瓦:
最後に煙でいぶすことで、表面が炭素膜で覆われた瓦です。渋いツヤのある銀色をしています。
・釉薬瓦:
表面はガラス質でコーティングされているので光沢があります。釉薬の種類によって色が異なるため、カラーバリエーションが豊富。
・窯変瓦:
窯に送り込む酸素の量を変えながら焼成するため、独特の色ムラがあるのが特徴です。色味のバランスを考えながら葺く必要があるため、施工費は割高になります。
・素焼き瓦:
粘土をそのまま焼成するため、もともとの土の風合いが感じられます。表面はザラッとしていて赤茶色をしています。
根強い人気がある日本瓦ですが、重量があるため耐震性が低いことがデメリットにもなります。最近では、軽量セメント瓦が開発されていて、見た目は日本瓦のような外観をしています。単価は約9,000円/㎡ですが、塗装などのメンテナンスは必要です。
屋根材は10年おきの塗装工事が必要!?塗装の役割とタイミング
日本瓦のようにメンテナンス性が高いものもありますが、ほとんどの屋根材は10年おきの塗装が必要です。1日を通して紫外線の影響を受けている屋根は、外壁よりも補修のタイミングが早いといわれています。
屋根塗装の役割ってなに?
屋根材を塗装する役割は、美観を維持するほかにもいくつかあります。屋根材の保護や防水性を高めるためです。ほとんどの塗料の耐用年数は10〜15年なので、寿命がくる前に再塗装すると効果的です。
また、最近の塗料は開発が進み、断熱性やセルフクリーニング機能などを備えたものも人気があります。断熱性が高い塗料は、夏は暑い外気の侵入を防ぎ、冬は室内の温かい温度を外に逃がさないので、年中快適に住まうことができます。
セルフクリーニング機能がある塗料は、低汚染塗料とも呼ばれます。親水性があるため、汚れがついても雨水などで汚れが落ちやすいのです。再度塗装工事を検討している場合は、メンテナンス性の高い塗料を選ぶとよいでしょう。
さらに、屋根の棟板金の浮きが気になる場合、補修と同時に板金の塗装をすることで防水機能を高めることもできます。
こんな劣化症状があれば塗装や点検のタイミング
もし、お住まいの屋根にこんな症状が見られるなら、そろそろ塗装のタイミングかもしれません。いちどセルフチェックをして気になる点があれば、専門の業者に点検をしてもらうとよいでしょう。
・屋根材のひび割れ:
屋根材は一次防水としても役割があるため、ひび割れがあると雨水が侵入してしまいます。とくにスレート屋根は割れやすいため、補修と再塗装のメンテナンスが重要です。
・屋根の棟板金の浮き:
板金の浮きが気になり出すのが築7〜10年です。これは多くの塗料の耐用年数と同じですから、屋根の点検とともに塗装工事をするとよいでしょう。
・漆喰の剥がれ:
日本瓦を使用している場合、屋根の頂点には「棟」があります。棟は屋根と瓦の隙間を漆喰で埋められていて、雨風から守る役割があります。瓦自体の寿命は長くても、漆喰は20年前後で剥がれなどの症状が出てきます。瓦がずれてきたり雨漏りの原因になるので、定期的にチェックしなければいけません。
・苔や藻の発生:
屋根に苔や藻が発生するのは、表面の塗膜が劣化して防水機能が低下している証拠です。苔や藻だと思ったらカビだったということも少なくありません。カビは建物の寿命を縮めてしまいますから、高圧洗浄などのお手入れが必要です。
まとめ
屋根は年間を通して紫外線や風雨の影響を受けています。普段あまり目にしないからこそ、定期的なメンテナンスが必要です。屋根の棟板金の浮きは、固定している釘が緩んでいることが原因です。放置しておくと、雨漏りの原因になります。また、飛散すると周囲の建物や人への危険性もあります。
屋根の修理点検個所は、板金の他にもルーフィングや野地板、屋根材、塗装など多岐にわたります。状態を診断してもらい、適切なお手入れをしましょう。