この記事の結論
- 屋根塗装が本当に意味がない屋根はあります。粘土瓦(日本瓦・陶器瓦)、2000年前後に作られた一部のスレート(パミールなど)、劣化が進みすぎた屋根、築10年未満のきれいな屋根の4つです。
- 一方で、スレート屋根・セメント瓦・金属屋根は、塗装で屋根材を守る意味があります。ただし屋根の防水を主に担っているのは、屋根材の下の防水シート(ルーフィング)です。塗装は「屋根材を長持ちさせる工事」と考えるのが正確です。
- 40年間の費用で比べると、いちばん高くつくのは「何もしないで雨漏りしてから直す」ケースです。塗装にするかカバー工法にするかより、自分の屋根に合う方法を早めに選ぶことが大切です。
「業者に屋根塗装を勧められたけど、本当に必要?」「屋根塗装は意味がないとネットで見た」という方に向けて、屋根塗装が意味のある屋根・意味のない屋根を、屋根材別にまとめました。
この記事は、埼玉県鶴ヶ島市の外壁塗装・屋根工事店、おうち工房が、点検でよくいただく質問をもとに、実際の施工写真と費用の目安を使って解説しています。塗装を勧めるための記事ではありません。塗装しなくていい屋根は、塗装しなくていいという前提で書いています。
屋根塗装が「意味ない」と言われる理由と、本当のところ
「屋根塗装は意味がない」という意見には、正しい部分と、条件つきで正しい部分があります。よく聞く5つの意見を整理しました。
| よく聞く意見 | 正しい部分 | 見落としやすい部分 |
|---|---|---|
| 屋根の防水は下の防水シートがしている。塗装しても雨漏りは防げない | 正しいです。屋根材のすき間から入った雨水は、下の防水シート(ルーフィング)が受け止めます | スレートやセメント瓦は、塗膜がなくなると水を吸って反り・割れ・コケが出ます。屋根材が傷むと防水シートの負担が増え、寿命が縮みます |
| 塗ってもすぐ剥がれて、かえって汚くなる | 実際に起きています | 原因の多くは、塗装してはいけない屋根材に塗った、下地処理や下塗りが不十分だった、のどちらかです |
| 塗装したら雨漏りした | 実際に起きています | スレート屋根の重なり目を塗料でふさいでしまう「縁切り不足」が原因です。タスペーサーなどで水の逃げ道を作れば防げます |
| 30年塗装していない家でも問題ない | 日当たりや屋根材によっては、大きな問題が出ない家もあります | 屋根は地上から見えません。問題がないのではなく、気づいていないだけのこともあります |
| 業者が外壁とセットで売りたいだけ | セット提案が多いのは事実です | 足場を1回で済ませると、屋根を別に工事するより15〜25万円ほど安くなります。ただし、塗装が不要な屋根ならセットにする理由はありません |
つまり、「屋根塗装は意味がない」は屋根材と状態によっては正しい、が答えです。次の章で、屋根材ごとに判定します。
屋根材別|塗装に意味がある屋根・意味がない屋根
| 屋根材 | 塗装の意味 | 理由 | おすすめのメンテナンス |
|---|---|---|---|
| 粘土瓦(日本瓦・陶器瓦・いぶし瓦) | ✕ 意味がない | 焼き物なので、瓦自体が色あせたり水を吸って傷んだりしにくい | 漆喰の補修、ずれた瓦の直し、棟の積み直し |
| スレート(コロニアル・カラーベストなど) | ○ 意味がある | セメントが主成分で、塗膜がなくなると水を吸って反り・割れ・コケが出る | 築10〜15年で塗装。割れや反りが多ければカバー工法 |
| 2000年前後に作られた一部のスレート | ✕ 意味がない | 屋根材自体が層状に剥がれる・割れる性質があり、塗っても屋根材ごと剥がれる | カバー工法、葺き替え |
| セメント瓦・モニエル瓦 | ○ 意味がある | セメントが主成分で、塗膜がなくなると水を吸って傷む | 塗装(モニエル瓦は専用の下塗りが必要) |
| 金属屋根(トタン・ガルバリウム鋼板) | ◎ 意味が大きい | 塗膜が切れるとサビが進み、穴があくと雨漏りにつながる | サビ止め+塗装。トタンは早めの塗装が大切 |
| アスファルトシングル | △ 状態による | 表面の石粒が残っていれば塗装は急がなくてよい | 剥がれ・めくれの補修、状態により塗装 |
塗装前
塗装後
埼玉県東松山市のセメント瓦の屋根塗装。セメント瓦は塗膜がなくなると水を吸うため、塗装で屋根材を守る意味があります(おうち工房の施工事例)
塗装前
塗装後
埼玉県鶴ヶ島市のスレート屋根の塗装。色あせて塗膜が弱くなった屋根を、外壁塗装と同時に塗り替えました(おうち工房の施工事例)
ご自宅の屋根材がわからない場合は、新築時の図面や仕様書に書かれています。見つからなければ、点検の際にお調べします。
塗装してはいけない屋根材(2000年前後のスレート)
スレート屋根には、かつてアスベスト(石綿)が含まれていました。アスベストが使えなくなった1990年代後半から2000年代にかけて作られた初期のノンアスベスト製品の中には、屋根材そのものが層状に剥がれたり、割れやすくなったりする製品があります。これらは塗装しても屋根材ごと剥がれてしまうため、塗装はおすすめできません。
| 製品名 | メーカー(当時) | 製造時期の目安 | よく見られる症状 |
|---|---|---|---|
| パミール | ニチハ | 1996〜2008年頃 | 表面がミルフィーユ状に剥がれる、釘のサビ・抜け |
| コロニアルNEO | クボタ(現ケイミュー) | 2001〜2008年頃 | 角の欠け、細かいひび割れ |
| レサス | 松下電工(現ケイミュー) | 1999〜2006年頃 | 層状の剥がれ、割れ |
| セキスイかわらU | 積水化学工業 | 2007年頃まで(ノンアスベスト品) | 表面の剥がれ、割れ |
製造時期は目安です。同じ時期に建った家でも、使われている屋根材は家ごとに違います。
こんな家は、塗装の前に屋根材を確認してください
- 1996〜2008年頃に建てた、または屋根を葺き替えた
- 屋根の表面が、薄い層になってめくれている
- 屋根材の角が欠けていたり、細かいひびが多かったりする
- 見積もりに屋根材の名前が書かれていない
この時期の家で、屋根材を確認せずに塗装を勧める見積もりには注意が必要です。
塗装の意味がある屋根でも「今は不要」なケース
築10年未満で、色あせやコケがない
スレート屋根でも、新築から10年前後は塗膜がしっかり残っていることが多く、塗装を急ぐ必要はありません。外壁塗装と同時に勧められても、屋根の状態がよければ次回に回す選択もあります。
劣化が進みすぎている
割れや反りが屋根全体に広がっている、屋根材の下の防水シートが寿命(築25〜30年が目安)を迎えている、すでに雨漏りしている、という場合は、塗装では直りません。カバー工法か葺き替えを検討する段階です。
施工前
施工後
埼玉県坂戸市の屋根葺き替え。劣化が進んだ屋根は、塗装ではなく屋根材から新しくするほうが長い目で見て安くなることがあります(おうち工房の施工事例)
近いうちに建て替え・売却の予定がある
5年以内に建て替えや売却を考えているなら、雨漏りの心配がない範囲で、最低限の補修にとどめるのも一つの方法です。
自分の家は塗装すべき?5つのステップで判定
ご自宅の屋根について、上から順に確認してください。
STEP1 屋根は粘土瓦(日本瓦・陶器瓦)ですか?
はい → 塗装は不要です。漆喰や棟の点検をしましょう
いいえ → STEP2へ
STEP2 1996〜2008年頃に建てた家で、屋根材が層状に剥がれていたり欠けたりしていますか?
はい → 塗装は不要です。カバー工法か葺き替えを検討しましょう
いいえ → STEP3へ
STEP3 すでに雨漏りしている、または割れ・反りが屋根全体にありますか?
はい → 塗装では直りません。カバー工法か葺き替えを検討しましょう
いいえ → STEP4へ
STEP4 築10年以上たっていますか?(または前回の塗装から10年以上)
はい → STEP5へ
いいえ → 今は塗装不要です。数年ごとに点検をしましょう
STEP5 色あせ・コケ・サビ・塗膜の剥がれのどれかがありますか?
はい → 塗装に意味がある時期です。外壁塗装とあわせて検討しましょう
いいえ → 急ぐ必要はありません。2〜3年後にもう一度確認しましょう
屋根に上って確認するのは危険です。地上や2階の窓から見える範囲で確認し、わからない部分は専門業者に点検を依頼してください。
40年間の費用で比べると?塗装・カバー工法・放置
「塗装しても意味がないなら、何もしないのがいちばん安いのでは?」という疑問に答えるため、30坪のスレート屋根で、築10年から40年間にかかる費用を3つのパターンで比べました。
築10年から築50年まで(40年間)の屋根の費用の目安(30坪・スレート屋根)
A:外壁塗装と一緒に屋根も塗装(築10年・築20年)→ 築35年でカバー工法
塗装2回(各約30万円)+カバー工法(約85万円)
B:屋根は塗装せず、築25年でカバー工法 → 築40年で金属屋根を塗装
カバー工法(約85万円)+金属屋根の塗装(約40万円)
C:何もせず、雨漏りしてから葺き替え(下地・室内の補修込み)
葺き替え(約150万円)+野地板の補修(約30万円)+室内の補修(約30万円)
※ おうち工房の費用目安(屋根塗装の費用相場、屋根カバー工法の費用相場)の中間の値で計算した概算です。屋根の大きさ・形・劣化の状態、塗料や屋根材によって変わります。Aの塗装費用は、外壁塗装と同時に行い足場代を外壁側で負担した場合の屋根部分の金額です。
| パターン | 40年間の費用の目安 | 向いている家 |
|---|---|---|
| A:外壁と一緒に屋根も塗装 → 築35年でカバー工法 | 約145万円 | 屋根材が健全で、外壁塗装を定期的に行う家 |
| B:塗装せず築25年でカバー工法 | 約125万円 | 塗装に向かない屋根材、または外壁塗装と時期が合わない家 |
| C:何もせず雨漏りしてから葺き替え | 約210万円 | おすすめできません |
お金だけで比べると、塗装を重ねるより、早めにカバー工法をしたほうが安くなる家もあります。屋根塗装は、外壁塗装と同時に行って足場代を節約できるときや、屋根材を少しでも長く使いたいときに意味が大きくなります。
一方で、何もせずに雨漏りしてから直すのは、どのパターンよりも高くつきます。屋根の下地(野地板)が腐ると、屋根材の工事だけでは済まず、天井や壁紙の補修まで必要になるためです。
塗装か、カバー工法か、まだ何もしなくていいか
屋根の写真をLINEで送っていただければ、塗装に意味がある屋根かどうかをお伝えします。点検をご希望の場合は、撮影した写真をお見せしながら説明します。
✓ 屋根の写真を送るだけでもOK
✓ 塗装が不要なら、そのままお伝えします
✓ 他社の見積もりのセカンドオピニオンも歓迎
電話:049-272-7005(9:00-19:00、土日祝休み)/お問い合わせフォーム
屋根塗装をしないまま放置するとどうなる?
スレート屋根を塗装しないまま放置した場合、劣化はおおむね次のように進みます。進み方は日当たりや立地で大きく変わります。
| 築年数の目安 | 屋根の状態 | 必要な工事 |
|---|---|---|
| 築10〜15年 | 色あせ、表面のざらつき、北側にコケ | 塗装で対応できる |
| 築15〜20年 | コケ・カビが広がる、細かいひび、棟板金の釘が浮く | 塗装+棟板金の補修 |
| 築20〜25年 | 反り・割れが増える、屋根材が水を吸って重くなる | 塗装できるかは状態次第。カバー工法も選択肢に |
| 築25〜30年以上 | 防水シートが寿命を迎え、雨漏りの危険が高まる | カバー工法、または葺き替え |
雨漏りが始まってからでは、屋根材の下の野地板まで傷んでいることがあります。屋根を修理しないとどうなるかもあわせてご覧ください。
屋根塗装で失敗しないための3つのポイント
1. 塗装の前に屋根材の名前を確認する
前の章で紹介した、塗装してはいけない屋根材でないかを確認します。見積もりに屋根材の名前や状態が書かれているかもチェックしてください。
2. スレート屋根は「縁切り」を行う
スレート屋根の重なり目が塗料でふさがると、入った雨水の逃げ道がなくなり、雨漏りの原因になります。タスペーサーという部材を差し込むなどして、水の逃げ道を確保する「縁切り」が必要です。見積もりに縁切り(タスペーサー)の項目があるか確認しましょう。
3. 下地処理と下塗りを省かない
高圧洗浄でコケや古い塗膜を落とし、屋根材に合った下塗り材を使うことで、塗膜が長持ちします。ここを省くと「塗ってもすぐ剥がれる」原因になります。費用の内訳は屋根塗装の費用相場で詳しく紹介しています。
カバー工法・葺き替えとの比較
| 工事 | 費用の目安(30坪) | 工期の目安 | 耐用年数の目安 | 向いている屋根 |
|---|---|---|---|---|
| 屋根塗装 | 35〜60万円(足場代込み) | 7〜10日 | 8〜20年(塗料による) | 屋根材が健全なスレート・セメント瓦・金属屋根 |
| カバー工法 | 70〜100万円 | 3〜5日 | 25〜30年 | 塗装に向かないスレート、劣化が進んだスレート |
| 葺き替え | 100〜150万円 | 7〜10日 | 30年以上(屋根材による) | 下地まで傷んでいる屋根、瓦屋根の全面改修 |
カバー工法の詳しい費用や注意点は、屋根カバー工法の費用相場と失敗しない選び方をご覧ください。
よくある質問
Q. 屋根塗装は本当に意味がないのですか?
A. 屋根材によります。粘土瓦や、2000年前後に作られた一部のスレートは、塗装の意味がありません。一方で、一般的なスレート屋根・セメント瓦・金属屋根は、塗装で屋根材を守る意味があります。
Q. 屋根塗装で雨漏りは直りますか?
A. 直りません。雨漏りは屋根材の下の防水シートや下地の傷みが原因のことが多く、塗装では直せません。雨漏りしている場合は、原因を調べたうえで部分補修・カバー工法・葺き替えを検討します。
Q. 屋根塗装は何年ごとに必要ですか?
A. スレート屋根の場合、新築から10〜15年、その後は塗料の耐用年数に合わせて10〜15年ごとが目安です。外壁より日差しや雨を強く受けるため、外壁より早く傷む傾向があります。
Q. 外壁塗装だけして、屋根は塗装しなくてもいいですか?
A. 屋根の状態がよければ問題ありません。ただし、屋根の塗装が数年後に必要になりそうなら、外壁と同時に行うと足場代(15〜25万円ほど)を1回分節約できます。
Q. 自分の家の屋根が塗装してはいけない屋根材か、どうやって調べますか?
A. 新築時の図面や仕様書で屋根材の名前を確認できます。わからない場合は、屋根の表面が層状に剥がれていないか、角が欠けていないかが目安です。正確に判断するには、専門業者による点検をおすすめします。
Q. 屋根塗装をしないとどうなりますか?
A. スレートやセメント瓦は、水を吸って反り・割れ・コケが進みます。屋根材が傷むと防水シートの負担が増え、最終的には雨漏りにつながります。雨漏りしてから直すと、下地や室内の補修も必要になり、費用が大きくなります。
Q. 遮熱塗料なら、屋根塗装の意味はありますか?
A. 遮熱塗料は屋根の表面温度の上昇を抑え、2階の暑さをやわらげる効果が期待できます。ただし、断熱材の量や屋根裏の換気によって体感は変わります。遮熱目的だけで、塗装が不要な屋根材に塗ることはおすすめしません。
まとめ
- 屋根塗装が意味ないのは、粘土瓦、2000年前後に作られた一部のスレート、劣化が進みすぎた屋根、築10年未満のきれいな屋根です。
- スレート・セメント瓦・金属屋根は、塗装で屋根材を長持ちさせる意味があります。防水を担うのは下の防水シートなので、塗装は「屋根材を守る工事」です。
- 費用だけで見ると、塗装を重ねるより早めのカバー工法が安い家もあります。いちばん高くつくのは、何もせずに雨漏りしてから直すことです。
- 迷ったら、屋根材の名前と今の状態を確認するところから始めましょう。
この記事の監修者
遠矢 慎(とおや しん)
株式会社Vamola 代表取締役/おうち工房 代表
資格:外壁診断士、雨漏り診断士、窯業サイディング診断士、外壁アドバイザー
所在地:埼玉県鶴ヶ島市富士見 電話:049-272-7005(9:00-19:00)
費用はおうち工房が埼玉県内で施工する場合の目安です。塗装してはいけない屋根材の製造時期は、各社の公開情報をもとにした目安です。
おうち工房
住所:埼玉県鶴ヶ島市富士見1丁目19−30 エーデルバウ栄和
住所:埼玉県鶴ヶ島市富士見1丁目19−30エーデルバウ栄和
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